遺言書とは死亡したときの財産の帰属先などを法定の要件に従って記載した書面であり、この遺言書がないと相続分は各相続人が法定相続分にしたがって取得することになり、この法定相続分と異なった配分をするには相続人全員での遺産分割協議が必要となります。
相続人が多い場合、推定相続人がいない場合、相続人が不仲な場合、相続人の中に所在不明の者や外国人がいる場合、一定の者(子の配偶者、内縁の妻等)に財産を渡したい場合、一定の者(兄弟姉妹等)に財産を渡したくない場合などは遺言書を作成しておくことをお薦めいたします。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
作成方法 | 遺言者が、本文、日付、氏名をすべて自書して、押印しなければならない。 | 遺言者が、遺言の内容を公証役場で公証人に口授し、公証人が公正証書を作成する。 | 遺言者が、遺言書に署名押印し、封筒に入れ遺言書と同じ印で押印した後、公証人に提出する。 |
証人 | 不要 | 2人以上必要 | 2人以上必要 |
検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
メリット | ・内容を他人に知られない・いつでも何処でも簡単に作成できる ・費用がかからない。 |
・原本は公証役場に保存されるので、偽造、変造、隠匿、破棄、紛失のおそれがなく、遺言の有効性も問題がない ・検認手続が不要 |
・内容を他人に知られない ・作成日付を特定できる |
デメリット | ・偽造、変造、隠匿、破棄、紛失の可能性 ・形式不備や内容不備によりその有効性が問題となる場合がある ・検認手続が必要 |
・費用がかかる | ・偽造、変造の可能性 ・有効性が問題となる ・検認手続が必要 |
司法書士費用 | 実費 | |
相談 | 0円 | 0円 |
公正証書遺言作成 | 50,000円~ | 公証人手数料は下記参照 |
証人 | 1人につき10,000円 | 交通費 |
戸籍謄本等取得 | 1通 1,000円 | 戸籍謄本:450円 |
目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 43,000円に5,000万円までごとに13,000円を加算 |
3億円を超え10億円以下 | 95,000円に5,000万円までごとに11,000円を加算 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に5,000万円までごとに8,000円を加算 |
目的価額とは、遺言により相続・遺贈する財産の価額です。
遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になりますので、各相続人・各受遺者ごとに目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額が手数料の額となります。
例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、4万3000円です(なお、下記のように遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。
ただし、遺言加算という特別の手数料があり、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万1000円を加算すると規定しているので、7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。
祭祀の主宰者の指定は、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、その手数料は1万1000円です。
遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。
作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料はかかりません。
Copyright © 2015 司法書士ヤマト事務所 All Rights Reserved.