遺言書とは法定の様式にそって書かれた、被相続人の財産の帰属等の最終意思を示す文書です。
自筆証書遺言が ある場合や、相続人たちの意思とはかけ離れた内容、一定の者のみが優遇されている内容の遺言がある場合などに問題となります。
Aさんが死亡してその相続人はBさんとCさんです。Aさんは遺産のうち預貯金をBさんに、不動産(実家)をCさんに相続させるという遺言書を残していました。遺言執行者はD弁護士とするとも記載されています。
しかし、Cさんは実家に住むつもりはまったくなく、逆にBさんは実家に住みたいと考えています。
原則として、遺言書があったとしても相続人同士で遺言の内容と異なる遺産分割協議をすることは可能です。
しかし、遺言の内容が、遺言書と異なる遺産分割協議を禁止する趣旨である場合にはこれと異なる遺産分割協議をすることはできません。
そして、遺言書で遺言執行者を定めている場合は、遺言執行者の同意を得る必要があります。相続人は遺言の執行を妨げる行為をしてはいけないからです(民1013)。
なお、遺言執行者が定められている場合は、遺言書と異なる遺産分割協議を禁止する趣旨であると解される場合もあります。
Aさんが死亡してその相続人はBさんとCさんです。Aさんは死亡する直前にノートの切れ端に、「すべての遺産はCさんに相続させる」と書き残しました。
しかし、Bさんはこんなノート切れ端に書いた遺言は無効だと主張しています。
遺言は要式行為といって、法律に定められた方式に従わなければ効力が発生しません。
遺言の有効性が問題となるときには遺言をした当人は既に死亡していますので、厳格に要件を定めておかないとその有効性の判断が難しいからです。
自筆証書遺言の要件とは、①遺言者が全文、日付、氏名を自書すること、②遺言者が押印することです。この要件さえ満たしていればノートの切れ端やチラシの裏であっても効力が生じることになります。
しかし、自筆証書遺言はその有効性を巡って争いになることが多くあります。
遺言書を作成するなら、有効性の問題が生じにくく、改竄・紛失のおそれがない公正証書遺言の作成をお薦めいたします。
Copyright © 2015 司法書士ヤマト事務所 All Rights Reserved.